bitBiome株式会社は、当社の酵素探索および改変技術を活用して開発したプラスチック酵素に関する研究成果が、欧州化学会誌「ChemCatChem」に掲載されたことをお知らせいたします。
本研究では、bitBiome独自の大規模微生物ゲノムデータベース(bit-GEM)から新たにPET分解酵素を同定しました。
本酵素はリパーゼ(CALB)と混合することにより大幅にPET分解活性が向上することを見出しました。
また、PET結合部位周辺の表面特徴量解析(*)を元にした指向性進化法(Directed evolution)による酵素改変にて活性向上を実証しました。
得られた変異体酵素は2酵素系と組み合わせることにより、野生型と比較して12.6倍のPET分解活性を達成しました。
本研究成果により、bit-GEMの酵素探索リソースとしての有用性と、酵素改変と2酵素系の組み合わせがPET分解酵素の活性向上手法として効果的であることが示されました。
これらの技術は、リサイクル困難なプラスチック廃棄物の酵素分解プロセス実現へ貢献すると期待されます。
この成果は、bitBiomeが展開する微生物シングルセルゲノム解析技術「bit-MAP®」、bit-MAP®で得られたゲノム情報、遺伝子情報を蓄積した独自の遺伝子データベース「bit-GEM」とプラットフォーム技術「bit-QED」を組み合わせて得られたものであり、これら基盤技術のバイオものづくりにおける技術的優位性を裏付けるものです。
bitBiomeはbit-GEM、bit-QEDを活用したバイオものづくり分野での協業プロジェクトを数多く実施しております。協業にご関心がある方は、info@bitbiome.co.jpまでお気軽にご連絡ください。
*表面特徴量解析:タンパク質立体構造情報のうち活性部位周辺の特徴量(表面電荷、疎水性、水素結合、結合部位らしさ)を比較し、活性向上に寄与するアミノ酸候補を提示する解析手法
掲載情報
雑誌名:ChemCatChem
論文タイトル:A Combination of Two‐Enzyme System and Enzyme Engineering Improved the Activity of a New PET Hydrolase Identified from Soil Bacterial Genome
著者名:Hideaki Mabashi-Asazuma, Makoto Hirai, Shigeru Sakurai, Keigo Ide, Masato Kogawa, Ai Matsushita, Masahito Hosokawa, Soichiro Tsuda
DOI:10.1002/cctc.202500364
掲載日:2025年8月6日
bitBiomeについて
bitBiome社は設立から現在まで、培養不要な微生物シングルセルゲノム解析技術bit-MAP®により、土壌細菌、海洋細菌、好熱細菌など多様な環境から微生物ゲノムを解析し、2025年8月現在24億遺伝子超を保有する独自のデータベースbit-GEMを構築しています。現在、このbit-GEMから得られる遺伝子と、独自のバイオインフォマティクス技術やバイオ実験自動化技術を駆使したbit-QEDプラットフォームを活用し、バイオものづくり産業で重要な酵素や微生物株などの低コストかつ迅速な開発を実現しています。
【本件に関するお問い合わせ先】
bitBiome株式会社 広報担当
E-mail:info@bitbiome.co.jp
Web:https://bitbiome.co.jp/