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2023.2.28 Research

学術誌「Frontiers in Microbiology」にてシングルセルロングリードシーケンスによるヒト腸内細菌の種内多様性解明に関する論文が報告されました

早稲田大学の研究チームとbitBiomeより、微生物シングルセルゲノム解析技術SAG-gel法とロングリードシーケンス技術を組み合わせた研究論文”Revealing within-species diversity in uncultured human gut bacteria with single-cell long-read sequencing“が公開されました。

本研究では、未培養細菌のナノポアロングリードシーケンスデータから環状SAGを構築する新しいワークフロー「scALA (single-cell amplified genome long-read assembly)」を開発し、ヒトマイクロバイオーム解析に適用しました。

scALAは、従来法では困難であった、様々な増幅エラーDNAを含む1細胞ゲノム増幅産物のロングリードシーケンスデータからの環状細菌ゲノム配列の構築を可能とします。本研究においては、scALAを用いてAnaerostipes hadrus, Agathobacter rectalis, Ruminococcus gnavisの3種の腸内細菌について複数株の環状ゲノムを取得し、株レベルの細菌ゲノムの構造多様性を捉えることができました。特に、A. hadrusゲノムにおいてゲノム配列の類似度による分類と保有機能遺伝子による分類が異なるパターンを示しており、細菌の表現型を推測する上で株レベルでのゲノム取得の重要性を示唆する結果となりました。本研究で開発したscALAを用いることで、未培養細菌のゲノムデータの拡充、ひいては、種内多様性の理解へとつながることが期待されます。

本研究成果は、オープンアクセス科学誌『Frontiers in Microbiology』に2023年2月24日に掲載されました。

<掲載論文>
雑誌名:Frontiers in Microbiology
論文名:Revealing within-species diversity in uncultured human gut bacteria with single-cell long-read sequencing
主な著者(所属):小川雅人(早稲田大学)、西川洋平(早稲田大学)、佐伯達也(bitBiome)、竹山春子(早稲田大学)、細川正人(bitBiome)(敬称略)
掲載日:2023年2月24日
DOI:https://doi.org/10.3389/fmicb.2023.1133917

<bitBiome株式会社について>
bitBiome株式会社は、世界最大規模の微生物ゲノムデータベース(bit-GEM)を作り上げ、バイオものづくりに貢献する酵素探索・改変プラットフォームを展開しています。bit-GEMには、従来は解析できなかった微生物の遺伝子情報を正確に読める世界初の「微生物シングルセルゲノミクス技術bit-MAP®」が活用されています。
bitBiomeは微生物シングルセルゲノミクス技術と世界最大の微生物ゲノムデータベースをテコに、脱炭素や循環型社会、医療イノベーションへの貢献を通じたバイオエコノミーの実現に貢献していきます。

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