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2022.8.6 Research

学術誌「Frontiers in Microbiology」にてヒト皮膚常在細菌のシングルセルゲノム解析に関する研究を報告しました

早稲田大学とbitBiomeの共同研究チームより、bitBiomeの微生物シングルセルゲノム解析技術bit-MAP®をヒト皮膚常在細菌に適用し、大規模なシングルセルゲノム情報の獲得を行った研究論文”Exploring strain diversity of dominant human skin bacterial species using single-cell genome sequencing”が公開されました。
本研究では、3組の同居家族を含む健康な日本人8名の皮膚常在細菌ゲノムを網羅的に獲得し、アジア人に多いとされているMoraxella osloensisを一例として細菌ゲノムの株レベルでの多様性の解明に取り組みました。

bit-MAP®ではショットガンメタゲノム解析と比較して10倍以上のゲノム情報を得ることができました。M. osloensisのゲノム情報は株レベルで得られており、同居家族に由来する場合でも株ゲノム間の違いが大きく、M. osloensisの種内多様性が高いことが示されました。また、M. osloensisの種内多様性はプラスミドやファージ感染の有無による株間の違いを反映しており、皮膚環境への適応や抗菌作用に関わる機能が株ごとに異なることが示唆されました。
本研究はヒト皮膚常在細菌を網羅的に獲得することにより、株レベルの細菌の多様性を捉えることができています。皮膚常在細菌の株レベルでの多様性の解明は、抗生物質やファージを用いた感染症治療の基盤データを提供するため、細菌が人の健康に与える影響の理解につながると期待しています。

本研究成果は、オープンアクセス科学誌『Frontiers in Microbiology』に2022年8月5日に掲載されました。

<掲載論文>
雑誌名:Frontiers in Microbiology
論文名:Exploring strain diversity of dominant human skin bacterial species using single-cell genome sequencing
主な著者(所属):井手圭吾(早稲田大学)、佐伯達也(bitBiome)、竹山春子教授(早稲田大学)、細川正人(bitBiome)

掲載日:2022年8月5日
DOI:https://doi.org/10.3389/fmicb.2022.955404

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