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2021.2.19 Press

米国Fred Hutchinson Cancer Research Centerとの共同研究契約締結のお知らせ: 大腸がん組織内の腫瘍内細菌叢に関するシングルセルゲノム解析

bitBiome株式会社(代表取締役社長:藤岡 直、以下「bitBiome」)は、Fred Hutchinson Cancer Research Center (Assistant Professor:  Susan Bullman, 以下「Fred Hutch」)と大腸がんに関連する腫瘍内細菌叢のシングルセルゲノム解析に関する共同研究契約を2021年2月5日付で締結しました。

bitBiomeとFred Hutchは、微生物シングルセルゲノム解析技術bit-MAP®により腫瘍内細菌叢が持つ機能の特定を目的として、ヒト大腸がん組織サンプルの細菌叢解析に関する共同研究を開始しています。

大腸がん組織内では、悪性細胞は非悪性細胞だけでなく、様々な微生物を含む、複雑な微小環境に囲まれています。特定の微生物が大腸がんの発症と進行に関与していることは、これまで細胞モデルおよび動物モデルで示されてきましたが、患者由来の腫瘍内細菌叢の機能は殆ど知られていません。

大腸がん組織内の細菌叢の解析には、16S rRNA遺伝子のターゲットシーケンスが標準的には用いられており、支配的な微生物属の増加や減少など細菌叢バランスの変化を見ています。一方で、この手法では腫瘍内細菌叢の機能に関する株レベルのゲノム情報を入手出来ません。このことは特定の細菌株の同定、機能的解析およびトランスレーショナルな研究に活用する上で大きなハードルになっており、疾患特異的に増殖している細菌の病原性因子の特定や、組織内細菌叢の研究の進歩を制限しています。

本研究では、bitBiomeとFred Hutchが共同で、微生物シングルセルゲノム解析技術bit-MAP® を活用して、これまでに培養や研究が行われたことのない「ダークマター」細菌を含む、大腸がん患者由来の腫瘍組織内細菌の全ゲノム配列を取得します。この研究により、がんと細菌叢の相関研究からメカニズムを評価する研究への移行が可能になります。腫瘍内細菌株の遺伝子と代謝経路を解析することで、細菌叢ががんの発症、進行、および患者の治療にどのように寄与しているかを解き明かしていきます。

【Fred Hutchinson Cancer Research Center, Bullman研究室について】
Susan Bullman研究室は、 第一に癌における腫瘍細菌叢のトランスレーショナルな意味合いを理解すること、第二に微生物関連のがんの発症に関与する特定のメカニズムを解明することに焦点を当てています。Bullman研究室では、分子微生物学、計算生物学、空間プロファイリング、遺伝学を組み合わせて、腫瘍の微小環境における宿主と微生物の相互作用を理解しています。このような取り組みを通じて、細菌関連悪性腫瘍という新たな領域において、科学的および臨床的なインパクトを持つ発見を目指しています。がんの発生または進行に役割を持つ細菌の発見・解明を通じて、がんの予防および治療に向けた新たな手段を提供していきます。
https://www.fredhutch.org/en/faculty-lab-directory/bullman-susan.html

【bitBiomeについて】
bitBiome社は2018年11月創業の早稲田大学発ベンチャー企業です。当社が開発したゲノム解析プラットフォームbit-MAP®は、世界唯一の微生物を対象としたシングルセルゲノム解析技術です。本技術は、地球上のあらゆる環境に生息する微生物のゲノム情報をたった1つの細胞から高精度に解読することを可能としました。本技術によって、従来のマイクロバイオーム研究で必要とされてきた煩雑な単離・培養、あるいは複雑なシーケンスデータの計算処理の必要なく、未知の微生物ゲノム情報を高速かつ網羅的に獲得することが可能となりました。
当社は、本技術を次世代のマイクロバイオーム解析サービスとして提供し、医療・農業領域を中心にあらゆる微生物関連の企業・アカデミアとの協業を通じて、当社Mission である “Unlock the Potential of Microbes” を実現し、社会へこれまでない価値を提供いたします。詳細については https://www.bitbiome.co.jp/をご覧ください。

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