ゲノム (全遺伝情報) の解読により、微生物の種類や機能を知ることができます。しかし、地球上に存在する微生物の大部分が培養できないため、私達がアクセスできるゲノムデータは一部の微生物種に限られてきました。
bitBiomeは、微生物を培養することなく、細胞1個からゲノムを解読する新技術 “bit-MAP®” を開発しました。 bit-MAP®により、これまで誰も手にしたことのない微生物ゲノムを一挙に獲得することができます。
加えて、bitBiomeは自社で収集したゲノムデータをデータベース化し、酵素探索・改変が可能なプラットフォームを構築しています。
bit-MAP®では、従来のマイクロバイオーム研究で必要とされた単離・培養・複雑なデータ処理は不要です。
サンプルに含まれる多種類の未知微生物の全ゲノムを個別・網羅的に解読し、新たな知見を提供します。
bit-MAP®では、微小なカプセルに微生物を1細胞ごと閉じ込めて、細胞膜の破壊、DNAの抽出、増幅などの多段階の反応を精密に制御します。
カプセル内部で正確に増幅されたDNAを個別に分析することで、微生物1つ1つのゲノム配列が解読されます。
Publications : Chijiiwa R et al. Microbiome. 2020. , Yoda T et al. Genome Resource Announcement. 2020. , Nishikawa Y et al. bioRxiv. 2020.
bitBiome独自のバイオインフォマティクス技術により、微生物ゲノムの配列情報をより高精度に仕上げることが可能です。
微生物ごとの遺伝子・機能の推定だけでなく、類縁菌との塩基配列の違いまでが明らかにすることができます。
Publications : Kogawa M et al. Scientific Reports. 2018.
bit-MAP®は、従来のマイクロバイオーム解析では困難な “個別の微生物の機能解明” を実現します。
手法 | Isolation, Cultivation, and Sequencing |
16S rRNA Sequencing |
Shotgun metagenomics |
bit-MAP®: Single-cell genomics |
---|---|---|---|---|
対象 | 単離培養できた微生物 | 難培養性を含む全ての微生物 | ||
事前準備 | 月単位の検討 | サンプルから直接解析できる | ||
目的 | 1種類の微生物の 機能を深く理解する |
微生物の集団全体での特徴を捉える | 個々の微生物の 機能を深く理解する |
|
原理 | 1種類の微生物の 全ゲノムをシーケンス |
1つの遺伝子 (16S rRNA 遺伝子) をシーケンス |
多種類の微生物ゲノム 混合物をシーケンス |
多種類の微生物の 全ゲノムを個別・ 一度にシーケンス |
解像度 | 株、亜種レベル | 属レベル | 種レベル | 株、亜種レベル |
得られる 情報 |
1種類の微生物の 全ゲノム配列 プラスミド配列 遺伝子リスト |
サンプル中の 微生物の存在比 |
サンプル中の 微生物の存在比 遺伝子の存在比 |
個々の微生物の 全ゲノム配列 プラスミド配列 遺伝子リスト |
実験・分析 バイアス |
小さい | 大きい | 小さい | 小さい |
汚染リスク (ホスト DNA 等) |
小さい | 大きい | 大きい | 小さい |
解析負荷 | 小さい | 小さい | 大きい | 制御できる |
多様な微生物が生息する複雑なサンプルからでも、高精度に膨大に遺伝子を獲得可能
ショットガンメタゲノム法と比較すると、私たちのbit-MAP®では、10倍以上のユニークな遺伝子を発見しました。特に、メタゲノム法では300アミノ酸残基以上の長い遺伝子を得ることができませんが、bit-MAP®では600アミノ酸残基以上のあらゆるサイズの遺伝子を高効率に獲得することができます。
bitBiomeは、土壌、海水、極限環境微生物など、さまざまな環境から得られた最高解像度かつ膨大な微生物ゲノムデータベース(bit-GEM)によって、合成生物学、バイオモノづくりの世界を加速しています。
bit-MAP®を利用して、私たちはシングルセルレベルの微生物ゲノムデータの蓄積に取り組んでいます。設立以来、これまでに20万超の微生物ゲノム(約20億遺伝子)を解読してきました。
当社のbit-GEMはショットガンメタゲノム解析では獲得できない、また公共データベースにも未収録のユニークな遺伝子データを膨大に収録しており、クライアントのプロジェクトにとって最適な遺伝子を提供することで、研究開発をサポートしていきます。
バイオインフォマティクス技術とケモインフォマティクス技術を活用した独自のパイプラインで、bit-GEMにある膨大な配列から最適な候補配列をハイスループットで選択します。